患者にとっての「理想の病院」とは、コンセプトや設計の段階からそうした患者のニーズを最優先につくられ、運営される病院ではないだろうか。 21世紀の先端医療とは、高度な研究施設や大病院が提供する医療ではなく、実にあたりまえのことなのだが、患者のニーズに応える医療なのである。
そうしたニーズを明確にするためにも、ここを手にとって最良の実例の一端を知っていただければと願っている。 なお、ここは日本看護協会出版会発行の看護師向け月刊誌『看護』に「先端医療・最前線」と題して2002年4月から2004年7月まで約2年にわたり連載した記事を中心に、『N経へルス』(N経BP社)に連載した「Goodホスピタル&クリニック」、『Meme』(F総合研究所)、『IUME』(T電力)、『栄養と料理』(J栄養大学出版部)、『週刊D』(D社)、『B春秋』(B春秋)に寄稿した記事をもとに、新たに取材した項目を加え、大幅に加筆修正してまとめたものである。
2年間の連載を支えてくださった日本看護協会出版会『看護』編集部をはじめ各編集部のみなさま、単行本としてまとめるにあたって貴重なアドバイスをくださったB春秋のF淑子さん、T夏樹さんに感謝申し上げる。 取材にお力添えいただいた医師、看護師はじめ病院関係者のみなさまには、何度も原稿をチェックしていただき、新たな取材にもこころよく応じていただいた。
心よりお礼を申し上げたい。 それは、レントゲンからはじまったいまから19年前、1895年2月8日の午後のことである。
バイエルンのヴュルッブルク大学物理学研究所の一室で、あまりにも有名な発見の物語が生まれた。 研究所長として物理学を教えていたヴィルヘルム・レントゲン教授は、陰極線に興味をもち、ちょっとしたアイデアをつかんでいた。

陰極線と呼ばれる微粒子(のちに電子だとわかる)が検出できなかったのは、陰極線が蛍光板に当たって生じる光が、クルックス管(真空放電管)の内部で発生する光のためにぼやけたからではないか、と。 その日、レントゲン教授はアイデアを試してみることにした。
クルックス管に黒いボール紙をかぶせ、部屋をすっかり暗くした。 蛍光板をセットして実験にとりかかる前に、とりあえず管に放電して、陰極線がボール紙の覆いを通り抜けないことをたしかめようとした。

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